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令和2年 年頭所感

協会の概要

公益社団法人東京都リサイクル事業協会

                         理事長 栗 原 正 雄

 新年明けましておめでとうございます。

 昨年は中国の古紙輸入制限3年目を経過し、割当量は一昨年の約4割減となったものと思われます。この影響は行き場を失った欧米の古紙にも及び、東南アジア諸国に押し寄せることになり、輸出価格は歴史的な低価格に落ち込みました。

中 国・東南アジアからの輸入商品の梱包材として日本に持ち込まれる段ボールケースは、輸出入のケースを差し引いて約年間160万㌧の入超となっています(このうち中国は約8割を占めるとされています)。つまりこの分の段ボール古紙を輸入している事になります。日本の段ボール原紙の原料は、国内で回収された古紙だけで足りますので、160万㌧は中国をはじめとするアジア各国に戻さなければ紙の国際循環は成り立ちません。

 中国の輸入制限分を補おうと、古紙問屋はアジア諸国を中心に、新たな輸出先を開拓して参りました。しかし充分な量に届かず1年を通して余剰状態が続きました。とりわけ昨年末の12月の需給は20年振りの余剰状況に陥る懸念から、国内の製紙メーカーさんには国際価格暴落の中、我が国の紙リサイクルシステムを守る為に一定価格を維持していただくことで、古紙問屋が荷受けを断らず、輸出できる環境づくりを支えていただきました。

 長年の懸案である古紙持ち去り行為は、輸出環境の悪化により、一部地域では下火になり行政回収量が回復傾向にあると伺っています。しかし、根強くやり続ける者いるばかりか、輸出環境の変化によって息を吹き返すことも想定し、手綱を緩めることなく、確実に根絶できる法制度の実現にむけて働きかけをして参ります。

 日本の再生資源の品質は、その異物の少なさ等において世界的にトップクラスにあり、これは排出先での「分別の徹底」に支えられています。とはいえ、事業系ごみの一部では再生資源がごみ化される等の課題もございます。

 例えば、ガラスびんの行政回収は、色分別の精度が維持できる優れたシステムですが、他方、事業所等から排出される産廃のガラスびんは排出先で色分別がされないため、埋立処分、あるいはガラス原料ではない骨材や埋め戻し材等となっています。こうした背景もあり、製びんメーカーでは白・茶色カレットの不足で再生原料を使用する余地があるにもかかわらず、バージン原料の使用を余儀なくされております。

 私どもは、資源の質を低下させることのないよう、都民・行政等との連携関係を一層強化し、循環型社会の基盤を担うにふさわしい業界づくりに努めていく所存です。とりわけリサイクルの肝ともいえる「排出段階で分別の必要性」を訴える活動を続けて参ります。今夏はいよいよ東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されます。日本の分別文化を世界に発信する好機と考えています。本年もご教示ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

以上

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